女子バスケットボールの米WNBAでは、コートで着るユニフォームをNikeが独占的に供給する。そのリーグに属するゴールデンステイト・ヴァルキリーズと、Gap傘下の女性向け衣料ブランドAthletaが手を組んだ。契約名は「コート外アパレルの公式パートナー」。服の会社が入り込む余地は、試合の外にあった。
ヴァルキリーズのジェス・スミス社長は、10月9日付のDigidayの取材で、レギュラーシーズンのスポンサー収入が前年より30%増えたと説明した。金額は明らかにしていない。独占権については、スポンサーがどの範囲を占めるかを明確にすることが、企業にもチームにも大切だと述べている。
衣料品では、その範囲がコートの内と外に分かれている。Nikeが2024年に発表した契約延長は2037年までで、WNBAなどに対するコート用ユニフォームと衣服の独占供給を定めている。Athletaとの複数年契約は今年9月15日の発表だ。試合着をつくる立場を得たわけではなく、選手やファンに日常向けの衣服を見せる機会を用意した。
例えば、自社サイトの衣料品特集にはヴァルキリーズの選手をモデルに起用する。Athletaは契約発表で、ファンが選手のスタイルや価値観、地域での活動を通じてつながる点を強調した。選手の装いに興味を持った人が、そのままブランドのサイトで商品を選べる。ユニフォームの供給とは違う形で、衣料品の買い物につなげられるわけだ。
本拠地チェイス・センターにも接点を設ける。契約には場内の広告掲出や催しが含まれ、発表時には9月18日の試合で来場者350人に限定Tシャツを配る企画も示された。2027年からは共同ブランドの商品をチームの店舗で販売する予定だ。選手が着る服を見せるだけでなく、ファンがチームへの愛着を身に着ける商品も扱う。
さらに、地元の少女たちをスポーツで支える活動が契約に含まれる。Athletaにとっては、衣服の広告に加え、女子スポーツに関わる場を持つことになる。ヴァルキリーズ側も、コート上の看板だけに限らず、商品や地域活動を組み合わせて提携先へ提示できる。
こうした契約が30%の増収をどれだけ生んだかは公表資料から分からず、Athletaの販売への効果もまだ示されていない。ただ、何に対してお金を払う契約なのかは見えてくる。Nikeのユニフォームを着た選手のファンに、Athletaは日常着を紹介し、チームの商品を売る。コート用衣服の供給が独占されていても、その選手を通じて別の服を届ける機会は残っている。




