観客は増えた。売上も増えた。それでも、野球の利益はほぼ半分になった。米大リーグのアトランタ・ブレーブスが11月4日に公表した7〜9月期決算だ。選手と放送への支出が膨らむなか、もう一つの事業である球場周辺の不動産にも、利益を残す役割が求められている。

同四半期の本拠地でのレギュラーシーズン平均観客数は前年同期比14%増、野球部門の売上高は4%増だった。一方、同部門の調整後OIBDAは約5000万ドルから約2550万ドルへ減った。この指標は営業利益に減価償却費や株式報酬費用などを足し戻した会社独自の利益で、最終利益や手元に残る現金ではない。

球場に隣接するThe Battery Atlantaなどの不動産部門も、同じ7〜9月は増収減益だった。売上高は7%増えたが、調整後OIBDAは約1980万ドルから約1760万ドルへ減った。家賃の商売が好調で野球を丸ごと救った、という決算ではない。それでも、規模の小さい不動産部門が、野球に近い桁の利益を残している。

稼いでいるのは、試合帰りに立ち寄る飲食店だけではない。The Battery Atlantaにはホテルや音楽施設に加え、ComcastやPapa John’sなどの拠点が入るオフィスがある。2025年4月には、隣接する6棟のオフィス群Pennant Parkも取得した。観客の財布に頼る商売のそばに、企業から賃料を受け取る商売を持っている。

この役割は、1〜9月の累計で見るとさらに大きい。野球部門の売上高が約6億1770万ドルなのに対し、不動産は約8400万ドルで全社売上の約12%にすぎない。ところが同じ調整後OIBDAでは、野球が約1250万ドルの赤字、不動産が約5580万ドルの黒字だった。会社全体の会計上の営業損益は約5110万ドルの赤字であり、不動産があれば会社が黒字になるわけでもない。

不動産の1〜9月増収率は19%だが、前年にはPennant Parkを買収する前の期間が含まれる。すべてを既存施設の成長と読むことはできない。買収後の期間同士で比べられる7〜9月について、会社は新しい賃貸契約やテナントから回収する費用の増加を増収の主因に挙げている。

野球の採算悪化にも、客足以外の事情がある。選手の給与に加え、自前の放送事業BravesVisionの制作費などが膨らんだ。経営陣は説明会で、選手への投資を増やし、球団が直接運営する放送にも費用をかけたと説明している。観客が戻っても、それを上回る支出があれば利益は減る。

放送収入の比較にはもう一つ注意が要る。新たな放送契約は通年で収益を計上するため、主にシーズン中に計上していた旧契約と1〜9月だけで比べるとずれが出る。経営陣は年間では旧事業並みの採算を目指しており、今期途中の数字だけで自前放送の成否は決められない。

不動産にも、9月末時点で約4億8510万ドルの借入がある。試合がない日にも入る賃料は、物件を持つ費用と引き換えだ。ブレーブスの決算には、選手と放送へ投資する商売と、球場の隣に企業の拠点を集めて貸す商売が並んでいる。観客数だけを見ていては、球団会社の稼ぎ方は見えない。

SOURCESこの記事の情報源

  1. Atlanta Braves Holdings:2026年第3四半期決算 ↗ — 一次情報
  2. Front Office Sports:ブレーブス決算と球場周辺不動産 ↗ — 報道・専門媒体
  3. Atlanta Braves Holdings:2025年Form 10-K ↗ — 一次情報
  4. Atlanta Braves Holdings:Pennant Park取得発表 ↗ — 一次情報
  5. Benzinga掲載:11月4日のBraves決算説明会発言録 ↗ — 報道・専門媒体