1回の注文が平均400ドルを超える。Uberが10月6日、23億ドルの現金で買収する契約を発表した米ezCaterは、会議や職場の食事をまとめて手配するサービスだ。大口注文を増やせるという買収に、飲食店の側からは、自分たちへの直接注文が戻ってほしいという声も出た。食事を作る店と、注文を集める会社では、同じ大口客の見え方が違う。
ezCaterでは、企業が飲食店を探すだけでなく、注文や食費の管理もできる。Uberの発表によると、直近12カ月の総予約額は25億ドル超。これは売上高ではなく、プラットフォームで扱った注文の総額だ。会計上の調整を加えた非GAAP営業利益では黒字で、Uberは買収による利益率の改善を見込む。取引は承認などを条件とし、完了は今後数カ月の予定だ。
Uberにとって、会社の食事を扱うこと自体は新しくない。今年4月には、担当者が店や予算を設定し、社員が各自の食事を選ぶ「meal planning」を発表している。今回加わるのは、法人向け機能の一つではなく、大口の食事を専門に扱ってきた市場と、その注文を支える運営だ。
店が直接受けても、手数料は残る
ただし、注文が増えれば飲食店も同じだけ得をするとは限らない。飲食業界媒体QSR Webの取材に、米チェーンJason’s Deliの販売担当幹部は、今回の買収をきっかけに直接注文が増えてほしいという期待を語った。店を知ってもらう入口として仲介サービスを使い、その後は自分たちの窓口で注文を受けたい。この二つの注文経路には、手数料の違いもある。
公式の加盟店向け案内では、ezCaterの市場で受けた注文の標準手数料は15%。食事代と店が設定する配達料が基本の対象で、税と任意のチップは除く。別に決済手数料2.99%もかかる。これは最初の紹介に一度だけ払う費用ではなく、受けた注文に応じて支払う仕組みだ。気に入ってくれた会社が繰り返し発注しても、同じ窓口を使えば手数料は残る。
ただ、自社サイトの直接注文も、ezCaterの事業の一部になっている。同社は飲食店の自社サイトに注文ボタンを置く「Online Ordering」も提供している。店が自分で集めた客は、店のブランドを表示した注文画面へ進み、裏側の受注はezCaterが支える。この場合の手数料は7%に下がり、決済手数料は別にかかる。
店側にも違いがある。この自社サイト経由の注文では、顧客の連絡先や会社名などを確認し、一覧を書き出して自分たちの販促に使える。店は客との関係を育て、ezCaterは集客を担わない注文からも、受注や支払いを支える対価を得る。Uberが買う事業には、客を紹介する窓口と、店が直接受けた注文を処理する基盤の両方がある。
配送会社が店の顧客接点へ入る動きは先行している。DoorDashは2025年、予約や顧客管理を手がけるSevenRoomsの買収契約を発表した。来店を扱うSevenRoomsと職場の食事を扱うezCaterでは対象が違うが、どちらも料理を運ぶ場面だけでなく、誰が注文を取り、次回につなげるかという部分へ事業を広げる選択だ。
UberとezCaterが、二つの注文経路や料金を今後どう扱うかはまだ分からない。Restaurant Diveは両社に統合方法を尋ねたが、発表以上の回答は得られなかったと報じている。平均400ドル超という大きさは買収の魅力を説明する。その注文の次回もUberの市場を通るのか、飲食店のサイトへ移るのか。移った先でも受注を担えることが、ezCaterという買収対象のもう一つの強さだ。
SOURCESこの記事の情報源
- Uber・ezCater共同発表(Business Wire) ↗ — 一次情報
- QSR Web・飲食店関係者への買収反応取材 ↗ — 報道・専門媒体
- Restaurant Dive・買収と統合方法の取材 ↗ — 報道・専門媒体
- Uber公式・既存の法人向け食事計画機能 ↗ — 一次情報
- ezCater公式ヘルプ・加盟店手数料 ↗ — 一次情報
- ezCater公式ヘルプ・自社サイトからの受注と顧客情報 ↗ — 一次情報
- DoorDash公式・SevenRooms買収契約の発表 ↗ — 一次情報



