一箱を運ぶコストは下がった。それでも、配送収支は送料無料を広げる前の水準に戻っていない。中南米のEC大手メルカドリブレが11月4日に公表した決算には、客の買い方の変化が表れている。安く運べるようにするだけでは、送料無料の採算は測れない。
ブラジルで7〜9月に発送した荷物一件当たりのコストは、現地通貨ベースで前年同期より5%下がった。一方、会社によれば、送料収入から配送費を引いた収支の、商品取扱高に対する比率は、送料無料の対象を広げる前の2025年1〜3月より悪化した。二つは比較期間も分母も違うが、荷物一件の効率が改善しても、商品取扱高に対する配送収支は、拡大前の水準に戻っていない。
送料無料を広げたのは、今回ではない。2025年6月から、ブラジルでは19レアル以上の購入が対象になった。同年10月の現地経済メディアEXAMEの取材でも、会社は販売の伸びと引き換えに利益率が下がることを説明していた。今年8月にも、利用頻度や購入する商品の種類が増えたと述べている。販促の成功を待っている段階ではなく、既に変わった買い方を、どう採算に乗せるかという段階に来ている。
今回の株主向け書簡は、その買い方を具体的に説明した。送料を払う必要のある客が減ったうえ、客は安い商品を買うようになり、一度の買い物かごに入れる点数も減った。同社によると、その結果、同じ数の商品を売るにも、発送する荷物は多くなる。倉庫や配送車を効率よく使って一箱のコストを下げても、箱自体が増えれば、その効果の一部は打ち消される。
買う側から見れば、少額の注文でも送料がかからないなら、まとめ買いを待つ必要が薄れる。売る側は購入の機会を増やせる一方で、小さな注文を数多くさばくことになる。送料無料は値引きであると同時に、発送一回分の仕事をどこで区切るかも変えている。
採算の改善も、一部では見え始めた。会社によると、ブラジルの19〜79レアル帯で配達を急がない無料配送は、9月に初めて、対象全体で変動費を差し引いた収支がプラスになった。ただし、これは全ての無料配送が黒字になったという意味ではない。固定費まで賄えたと示す数字でもない。
グループ全体の営業利益率は、4〜6月の6.7%から7〜9月は6.3%へ下がった。EXAMEによると、年末商戦に備えて保管・出荷施設の面積を約20%増やしたことや、エネルギー価格、販促費も負担になった。利益率の低下を小分け買いだけで説明することはできない。IR責任者のリチャード・キャスカート氏も同誌に、利益率がいつ回復するかは示していない。
小さな注文が増えても、それを上回る利益を生めれば、送料無料を広げる意味はある。ただ、今回の資料だけで施策全体の損得は判定できない。一箱の配送費が下がったことは前進だが、それで十分かは別の話だ。買い物かごが小さくなった今は、商品を売るために何箱送る必要があるかまで含めて、採算を見なければならない。
SOURCESこの記事の情報源
- MercadoLibre:2026年7〜9月期株主向け書簡(SEC提出) ↗ — 一次情報
- EXAME:2026年7〜9月期決算とIR責任者への取材 ↗ — 報道・専門媒体
- EXAME:2025年7〜9月期の送料無料施策と経営陣取材 ↗ — 報道・専門媒体
- EXAME:2026年4〜6月期決算とIR責任者への取材 ↗ — 報道・専門媒体



