豪百貨店David Jonesの経営が揺らぐなか、店舗を貸す側が公表した数字が目を引く。17カ所のWestfieldで約20万平方メートルを借りているのに、大家であるScentre Groupの賃料収入に占める割合は約1.8%。店の大きさと、大家の収入を支える大きさは一致していなかった。
11月4日の事業報告で明らかになった。同社の報告によると、David Jonesは9月末までの賃料は支払っている。同日の豪公共放送ABCは、それ以降の賃料が未払いになっているとするScentreのCEOの説明を報じた。CEOによれば、営業継続のために提示した提案も、百貨店の所有者Anchorage Capital Partnersに拒否された。ABCの掲載時点では、外部の管理人を置くかどうかの判断はまだ下されていない。
大きなテナントの危機なのに、賃料への影響が小さく見えるのはなぜか。Scentreが開示した床面積1平方メートルあたりのグロス賃料は、David Jonesが352豪ドルで、全店舗の平均942豪ドルを大きく下回る。百貨店が広い床を使っても、そこから受け取る賃料は面積ほど大きくない。
未払いに備える仕組みもある。David Jonesが差し入れた銀行保証のうちScentreの取り分は約3000万豪ドルで、同社が受け取るグロス賃料の8カ月分に相当する。未払賃料に充当できる保証だ。今回の危機を受けて急に設けたのではなく、2023年のAnchorageによる買収を大家として認める際の条件だった。
もう一つ、Scentreには既に試してきた選択肢がある。百貨店の床を小さくし、別の店を入れることだ。2025年の年次報告には、3施設でDavid Jonesの売り場を縮小したと記されている。シドニーのWestfield Burwoodでは、再開発によりALDI、家電のJB Hi-Fi、Nike、スポーツ用品のrebelを迎えた。百貨店の看板を残すことだけを、施設の集客策にしてきたわけではない。
今回の報告には、ニューサウスウェールズ州Tuggerahでの続きも載った。2000万豪ドルをかけて旧David Jones区画をつくり替え、JD Sportsとrebelが開業した。開業後8週間の来館数は比較対象の期間を6.2%上回ったという。ただし、会社の資料は比較期間の日付を示していない。さらに2027年4〜6月には娯楽施設TimeZoneの開業を予定する。
もっとも、この来館増がすべて店の入れ替えによるものとは確かめられない。新しいテナントの賃料や投資回収に要する期間も、今回の報告にはない。平均賃料が高い業種を並べれば、2000万豪ドルの工事代を簡単に回収できるという話ではない。
それでも、大家の判断を分ける数字は見えてくる。失う賃料はいくらか、未払いをどれだけ保証で補えるか、次の使い方にいくらかかるか。大きな百貨店を残すことと、商業施設の稼ぎを守ることは、必ずしも同じ選択にならない。



