リーバイスの利益率は上がった。ところが、成長の軸に据えてきた直販では店の客足が鈍っている。米リーバイ・ストラウスが10月7日に発表した第3四半期決算は、この二つを同時に映した。支えになったのは卸売りと関税還付。同社は還付による利益の一部を、顧客を呼び戻すための支出に回している。
3カ月前の説明は力強かった。7月の前四半期決算で、会社は直販中心への転換が成長と収益性の向上につながっていると説明した。為替などの影響を除く直販売上は前年同期比8%増。ところが、8月30日までの第3四半期では2%増へ鈍った。既存直営店と自社ECの伸びを見る「比較可能売上」も、6%増からほぼ横ばいになった。
直販の売上が増えているだけでは、店舗の好調は読み取れない。米証券取引委員会への四半期報告書によると、今回の直販増収を支えたのはECと出店で、客足の鈍化による店舗業績の低下がその一部を相殺した。出店で店舗費用は増える。その一方で既存店の客足が鈍れば、売上に対する費用の負担が重くなる。報告書は、実際にこうした要因が販売費率を押し上げたと説明している。
米小売専門メディアRetail Diveが伝えた決算説明会での経営陣の説明には、商品の見せ方のずれもあった。米国の新学期商戦では、ゆったりしたシルエットの訴求に力を入れたが、顧客の関心は腰の位置が低いローライズへ向かっていたという。欧州では暑さが客足を圧迫したとした。直販では、商品をつくるだけでなく、何を前面に出して店へ来てもらうかまで自社で担う。
卸売上は前年同期比6%増えた。ただし、これを顧客が直営店から他の小売店へ流れた証拠とは読めない。四半期報告書では、米州の卸増収は値上げがもたらし、数量はわずかに減っている。欧州では数量が増えた。卸は全体の売上を支えたが、その中身は地域によって違う。
利益率を大きく押し上げたのは関税還付だった。同社の四半期報告書によると、米最高裁が無効とした追加関税について、過去に支払った分の返還益を計上した。リストラ費用などを除いて会社が算出する利益率(調整後EBITマージン)は、前年同期より3.7ポイント改善。このうち3.3ポイントは、還付による利益から事業への追加支出を差し引いた効果だ。利益率の改善の大半を、一時的な返還益がもたらした。
同社は第3四半期に、還付益を活用した追加支出を2,500万ドル計上した。続く第4四半期にも積み増す計画だ。Retail Diveが伝えた財務責任者の説明では、使い道は追加のマーケティング、供給網の強化、年末商戦での販促。還付益の全額を利益として残すより、販売を立て直す機会に充てる判断だ。
EC売上は今回も10%伸びた。一方、店舗は出店が増収に寄与しながら、客足の鈍化に悩んでいる。店を増やすことと、その店へ客を呼び続けることは同じではなかった。還付益で生まれた余力を使い、集客と商品を届ける力の両方を支える。その追加支出が直販の伸びを再び高められるかは、次の決算で確かめることになる。




