店で靴を選び、スタイリストと飾り付けを考え、完成した一足を投稿する。Crocsが中国・武漢で開いた新店は、商品を買う前後の作業まで来店体験にしようとしている。米Modern Retailの10月7日付取材で、同社はこの店の知見を他の市場にも生かす考えを示した。

Crocs by Youは9月23日、商業施設「武商夢時代」に開いた。現地メディアSocialBetaの紹介によると、商品陳列に加えて創作体験のエリアを設け、靴に付ける小さな装飾品Jibbitzを8分類から選べる。店限定の18K金メッキ品もある。完成させた作品はオンラインに投稿でき、選ばれれば店内の「名人堂」に展示される仕組みだ。買って持ち帰るまでに、選ぶ、組み合わせる、見せるという工程が入る。

これを「個性的な靴を初めて売る店」と捉えると、変化を見誤る。Crocsは2006年にJibbitzの買収契約を発表している。2025年7月にニューヨークのSohoで開いたIcon店にも、子どもと大人が装飾品を選ぶJibbitzバーがあった。こちらは靴やバッグなどの品ぞろえを広げた店でもあった。個性を足す機能は以前からあり、武漢ではそれを来店目的の中心に据えた。

会社が見ているのも、一度の追加購入だけではない。Anne Mehlman社長はModern Retailに、カスタマイズする顧客の生涯価値はしない顧客より高いと話している。ただし、金額や比較条件は示されていない。飾る体験が愛着を生むのか、もともとCrocsが好きな人ほど飾るのかは、この説明だけでは分からない。

同誌によると、武漢店ではスタイリストと一緒に靴を仕上げる。その売り方には、接客の時間も必要になる。装飾品が売れても、その売上が増えた接客の負担を上回るかは別の話だ。今回読める資料には、武漢店の客単価や採算、通常店との比較結果はない。完成品を見せ合う仕組みが次の来店につながるかも、これから確かめる部分に残る。

Mehlman氏は武漢で得た知見を、他市場へ広げるかどうかの判断や既存の店舗づくりに生かす考えを示した。新店の展開が決まったわけではない。選んだ靴を店員と仕上げ、投稿し、選ばれれば店頭で展示する。靴を買って帰った後にも、客との関係を続けられるか。武漢店では、そのための接客と展示の仕掛けを同じ売り場に置いている。

SOURCESこの記事の情報源

  1. Modern Retail:Crocs幹部への10月7日掲載インタビュー ↗ — 報道・専門媒体
  2. SocialBeta:武漢Crocs by Youの開店情報 ↗ — 報道・専門媒体
  3. Crocs:Jibbitz買収契約の発表(2006年) ↗ — 一次情報
  4. Modern Retail:2025年のSoho店取材 ↗ — 報道・専門媒体