TikTokで動画を見てヘッドホンを買う。届いたものが合わなければ、近くのBest Buyへ持っていく。米家電大手が9月に発表したTikTok Shopへの出店では、この組み合わせができるようになる。販売開始は10月下旬の予定。対象となる購入品は、郵送に加えて店舗で返品できる。
用意するのは約1万点。ヘッドホン、カメラ、小型家電、パソコンなどを、TikTokを離れずに買えるようにする。注文を受けた後の配送はBest Buyが担う。動画の中だけで買物が完結するように見えても、その後ろには、既存の家電店の物流と店頭がある。
クリエイターに商品を紹介してもらうこと自体は、今回の発明ではない。同社は2025年4月に、発信者が自分のおすすめ商品を並べ、売上に応じて報酬を得る仕組みを始めている。当時はBest Buy側に商品をまとめた売り場を置いていた。今度は発見から購入までの場所をTikTokの中に広げる。
この違いは、売り場へのリンクを一つ減らすだけにとどまらない。家電は、買う前に実際の使い方を見たい商品でもある。例えば掃除機なら、部屋でどう取り回すかを映せる。動画を見た後、商品名を覚えて別の店で検索する必要がなくなれば、紹介した発信者と購入のつながりも追いやすくなる。これは機能から考えられる利点で、購入率が実際に上がったという結果ではない。
Best Buyは、この接続を出店ブランドへの広告商品にも組み込む。企業はクリエイターの動画や購入リンクを使い、どの内容が反応や売上につながったかを測る設計だという。家電を売って利益を得るだけでなく、その家電をどう紹介すれば売れるのかという情報にも価値を持たせようとしている。
一方で、動画を見て買った注文がすべて新しい売上とは限らない。もともとBest Buyで買うつもりだった人が、購入場所を移しただけという場合もある。クリエイターへの報酬や返品対応の費用まで含めて利益が増えるかは、始まってみなければ分からない。発表では、従来のECに対する購入率や返品率の比較は示していない。
SNSの買物では、見つける瞬間の楽しさが前面に出る。Best Buyが持ち込む強みは、その後に商品を届け、困ったときに持ち込める店までつなげられる点だろう。新しい購入ボタンを置く競争の中で、長年持っていた実店舗が、画面の外で買物を支える。出店の成否は動画の再生数だけでなく、届けた後まで含めた採算に表れるはずだ。
SOURCESこの記事の情報源
- Best Buy公式:TikTok Shopへの出店予定 ↗ — 一次情報
- Best Buy公式:クリエイタープログラムの開始 ↗ — 一次情報
- Retail Dive:Best BuyのTikTok Shop出店 ↗ — 報道・専門媒体




