車の保険料が上がれば、同じだけ走っても手元に残るお金は減る。マレーシアのGrabの運転手団体が、政府の新たな支援策で歓迎したのも保険料の補助だった。配車や配達で働く人の収入を増やすために、報酬と経費の両方を変える案が動き出している。

マレーシア政府は10月9日、2027年の予算案の説明で、Grabと総額1億6,000万リンギットの支援策を共同負担すると発表した。2027年から、配車サービスの運転手や配達員の最低報酬の引き上げ、車両の維持費・保険料の補助、社会保障の拠出支援を組み合わせる。

Grabは同日、最低報酬の基準について原則合意したと説明し、制度の導入中は乗客の運賃を安定させる方針を掲げた。乗客から多く受け取って、その分を運転手に回すだけの案ではない。政府と事業者が費用を負い、働くために出ていくお金も減らそうとしている。

ただし、全国共通の最低報酬額が決まったわけではない。政府、働き手、事業者の代表による協議会が、最低報酬の水準や算定方法を詰めており、政府は2027年初めの取りまとめを見込む。今回の共同支援は、その確定を待つ間の措置として発表された。

経費を減らす策の一つは、車両整備用の潤滑油などへの補助だ。安全評価の高い運転手には、配車業務で必要な保険の費用を最大25%減らす暫定的な支援も予定している。保険や整備に払う額が減れば、同じ運賃の仕事でも手元に残るお金を増やせる。ただし、補助の対象条件によって恩恵は変わり、働く人全員に同じ金額を渡す案ではない。

社会保険の補助自体は、すでにある。Grabは今年6〜12月、条件を満たす上位2階層の登録者に、所定プランの拠出額の一部を補助している。新案では、特に稼働の多い人には全額、それ以外には一部の補助を掲げる。誰がどの支援を受けられるかは、今の会員階層との対応も含め、今後の条件を確かめる必要がある。既存補助に新しい補助をそのまま足せるとは読めない。

運転手団体PRGMは、保険料の上昇が手取りを圧迫してきたとして支援を歓迎した。一方で、地域やサービスの種類によって経費は違うため、制度の実施方法にその差を反映してほしいとも求めている。

政府とGrabが1億6,000万リンギットをどう分担するのか、何年間の支援なのかは、今回確認した発表では分からない。最低報酬の額も、運賃を安定させる具体策もこれからだ。乗客への請求額を抑えながら働き手の手取りを増やすには、その間の費用を誰かが負担する必要がある。今回、政府とGrabは共同で負担する意思を示した。次に必要なのは、どちらが、いつまで引き受けるのかという条件である。

SOURCESこの記事の情報源

  1. マレーシア首相府|2027年予算演説(第34項) ↗ — 一次情報
  2. Grab Malaysia|2027年予算に伴う共同支援策 ↗ — 一次情報
  3. GrabBenefits|2026年6〜12月のSOCSO拠出補助 ↗ — 一次情報
  4. Bernama|運転手団体PRGMによる支援策への評価 ↗ — 報道・専門媒体
  5. マレーシア人的資源省|ギグ労働者法の施行と協議会 ↗ — 一次情報