女子ゴルフへの支援を強めるという発表なのに、高額賞金の大会シリーズは終わる。9月28日に明らかになったサウジアラビアの投資方針は、読む立場によって印象が大きく変わる。
終了するのは、女子欧州ツアー(LET)のPIF Global Series。2026年は5大会で計1500万ドルの賞金を用意していた。米Front Office Sportsによると、2027年は同じシリーズを開かない。一方、ゴルフ振興を担うGolf Saudiは、LPGAの公式サイトで長期的な支援の強化を打ち出した。
資金を引き揚げて終わり、という話ではない。英国の大会には引き続き投資し、来年は米女子ツアーのLPGAとLETの共同開催で、賞金総額400万ドルの大会にする。LETの年間ランキングへの複数年の支援も始める。複数の開催地に配っていた資金を、有力大会とシーズンを通じた支援へ組み替える方針だ。
この変更は、スポンサーの説明としては筋が通る。Golf Saudiは、海外の大会でトップ選手を見せることと、サウジ国内で女性や少女がゴルフを始めることを結びつけている。国際大会をいくつ開いたかだけでなく、その先で自国の競技人口やゴルフ産業が育つかを成果に置いている。
ただし、ツアーを回る選手にとっては別の計算になる。年間ランキングの賞金は、シーズンを通して上位に入って初めて届く。個々の大会の賞金なら、その週に良いプレーができれば獲得できる。両方とも選手への支援だが、同じ選手に同じ頻度で行き渡る仕組みではない。
英国の大会が大きくなっても、それだけで他の大会の出場機会を埋められるわけではない。逆に、年間を通じた契約がツアー運営を安定させる余地もある。2027年の全日程とランキングの賞金額は、9月28日の発表時点ではそろっておらず、差し引きの影響はまだ計算できない。1500万ドルがそのまま全額消える、と受け取るのも正確ではない。
高額賞金のシリーズは、選手の稼ぐ機会を短期間で増やせる。その機会が続くかどうかは、競技人気だけでなく、資金を出す側が何を成果と考えるかにも左右される。支援が続くという発表だけでは、各選手が来年どこで稼げるかはまだ見えない。残る大会の出場枠と、年間ランキングに配る賞金の内訳によって、その答えは変わる。




