土を積む機械だけが速くなっても、運ぶトラックが来なければ作業は止まる。建設現場の自動化を考えるとき、一台の性能だけでは解けない問題だ。
ソフトバンクグループが組んだ米ASIは、メーカーの異なる建機をまとめて動かす技術を手がける。両社は9月24日、大規模なインフラ工事向けの自動建機を開発・事業化する合弁会社の設立を発表した。ソフトバンクは合弁への資金提供とは別に、ASIへ2億2,500万ドルを直接投資する。
ASIのシステム「Mobius」は、既存の車両に機器を取り付け、ソフトウエアから作業を指示したり、運行状況を監視したりする仕組みだ。同社は、建機を一つのメーカーにそろえ直さずに導入できることを売りにしている。
たとえば、積み込みを担うローダー、土を運ぶトラック、地面を固める機械が順番に作業する場面を考える。それぞれが自動で動いても、前の工程が終わる前に次の機械を向かわせれば、待ち時間が生まれる。走らせ方と同時に、いつどこで何をさせるかも決める必要がある。
9月30日のThe Robot Reportの取材で、ASIのメル・トリーCEOは、熟練オペレーターの不足に加え、異なる種類の建機を大きな現場で連携させることが難所になっていると説明した。同社によれば、複数種類の車両を統括する技術はすでに実稼働しており、今回の資金で建設分野への事業拡大を進める。
新しい自動運転技術が、この提携で初めて生まれたわけではない。今回進んだのは、その技術を大きな工事で使うための事業体と資金の用意だ。
この売り方では、現場が持っている建機そのものが導入の足場になる。まだ使える機械を捨てずに済むなら、すべてを買い替えるより投資の判断はしやすい。その代わりASI側は、年式や機種、作業条件が違う機械をつなぐ難しさを引き受ける。対応メーカーが多いという説明だけで、どの現場にもすぐ入れられるとは言えない。
今回の発表や追加取材では、合弁事業の具体的な導入現場、工期の短縮率、顧客の投資回収期間までは示されていない。建設会社が知りたいのは、自分の建機で、どの作業から、いくらで始められるかだ。ASIは機械を残したまま自動化できると提案する。その約束を、機種も工程も違う現場でどこまで守れるかが商売になる。
SOURCESこの記事の情報源
- ASI・9月24日の合弁発表 ↗ — 一次情報
- ASI・Mobius製品説明 ↗ — 一次情報
- The Robot Report・9月30日のCEO取材 ↗ — 報道・専門媒体




